2017年12月1日(金)より公開の映画『鋼の錬金術師』の感想・レビュー記事です。
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— ワーナー ブラザース ジャパン (@warnerjp) 2017年12月1日
毎月1日は映画がお得な価格で楽しめる「#映画の日」!本日より公開スタートしました映画『#鋼の錬金術師』では、原作・荒川弘先生が描いた「ハガレン0【ゼロ】」を入場者特典として配布中!数に限りがありますのでご注意を…!! #ハガレン pic.twitter.com/kL9xhqv5iB
※記事の性質上、映画・原作における『鋼の錬金術師』のネタバレが多分に含まれています。閲覧注意です。
【更新履歴表】
*2017年12月2日・初投稿
1. そもそも『鋼の錬金術師』とは
『鋼の錬金術師』は荒川弘による漫画で、錬金術師が存在する世界観を描いたダークファンタジー作品です。漫画は全27巻(完全版は全18巻)で、全世界コミック発行部数は累計7000万部を突破するなど、いまなお愛され続けている人気コミックです。
1-1. 2つのTVアニメ『鋼の錬金術師』
『鋼の錬金術師』ことハガレンは過去2回のTVアニメ化を果たしており、2003年に放送された『鋼の錬金術師』(全51話、以下「無印アニメ」と表記)と、2009年に放送された『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(全64話、以下「FA」と表記)の2種類があります。
前者のアニメ無印はTVアニメ放送中に原作が連載中だったこともあり、世界観や主要キャラを除いて、アニメオリジナル展開となっています。そのため原作とは異なるラスボスだったり、アニメオリジナルキャラも多数登場します。
後者のFAは、アニメ無印とは対照的にほぼ原作漫画に準拠したアニメ化となりました。旧作であるアニメ無印までで描かれたストーリーを踏襲しつつも、その後は原作ストーリーに完全準拠し、原作の最終話とアニメの最終話がほぼ同時期に完結するという珍しい形となりました。
1-2. 劇場版『鋼の錬金術師(アニメ)』
また劇場版『鋼の錬金術師(アニメ)』も2作品あり、2005年公開の『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』と、2011年公開の映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』があります。
劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (通常版) [DVD]
前者であるシャンバラを征く者は、2003年から2004年までに放送されたアニメ無印の最終回の続編であり、完結編といえます。真理の扉をくぐったエドが扉の向こうの世界で奮闘するというお話。アニメ無印のお話を決着させた形になるので、アニメ無印ファンにはうれしい映像化でした。
後者の嘆きの丘(ミロス)の聖なる星は、FA放送後の劇場版ですが、基本的には劇場版オリジナルストーリーです。原作でいえば第11巻(第45話)の時系列に相当する、作中の空白の時期を描いたお話といえます。
1-3. 花丸総研はハガレンのそれなりのファン
筆者である花丸総研はハガレンは上記の映画・TVアニメなどすべて視聴しているのでそれなりのファンですね。それなりという表現にとどめたのは、原作コミックは全部持っているわけではないからです。
16巻くらいまでは持っていますが、それ以外の部分についてはFAのアニメや連載中だった週刊少年ガンガンをたまに読む程度でした。FAアニメ最終回時には、漫画最終回が乗っているガンガンを買いに行ったのはいい思い出ですね。
そのため原作を一から十まで読み込んでいるか、という意味では熱心な原作ファンではありません。アニメもどちらかといえば原作準拠のFAより無印シリーズやシャンバラの方が好きなんですよね。
2. 映画『鋼の錬金術師』の内容
ここでは映画『鋼の錬金術師』の内容について紹介します。
2-1. 映画『鋼の錬金術師』の原作コミック話数範囲
今回の映画は原作コミック『鋼の錬金術師』でいうと、原作1巻~10巻に渡る内容でした。
もちろん、映画では原作のエピソードを抜粋して再構成しているので、一概に比較はできません。マスタング大佐とラスト(色欲のホムンクルス)の対決と決着が付くという意味では、原作10巻までに相当します。
映画本編の尺が130分くらいだったので、結構詰め込んでいる印象はありますね。映画で登場した原作での主なエピソードは次の通りです。
- エドとアルの母親(トリシャ)の人体錬成シーンと失敗
- リオールでのコーネロとの闘い
- ショウ・タッカー・ニーナの人語を話すキメラのエピソード
- ヒューズ中佐の殺害
- 第5研究所での戦い
- アルフォンスの自分は本当に存在した人間だったのかという疑念
- ラスト(色欲)との闘い
- 映画オリジナルの最終決戦
ざっくりまとめるとエドが賢者の石を求める姿勢にフォーカスされており、アルの出番は少し減っていた印象です。代わりに原作での主要キャラが一部削減されており、映画では既存キャラがその役割を果たすなど全体的に改変が見受けられました。ウィンリィは出番が増えてましたね。
2-2. 映画『鋼の錬金術師』と原作との相違点
今回の映画は原作での主要なエピソードを再構成している関係上、様々な改変点が見受けられました。以下に気づいた範囲での改変部分を載せます。
主な改変パートは次の通り。赤字部分が映画、緑字部分が原作で対応する内容になります。
なお、下記に挙げたキャラクターはそもそも映画では登場しません。
【原作1巻~10巻で登場するも、映画ではカットされた主なキャラクター】
ロゼ、ヨキ中尉、アームストロング少佐、スカー(傷の男)、ピナコ、シェスカ、ナンバー48(スライサー)、ナンバー66(バリー・ザ・チョッパー)、キング・ブラッドレイ大総統、デニー・ブロッシュ軍曹、グラマン中将、エリシア、ジャン・ハボック少尉、イズミ・カーティス、グリード、リン、ヴァン・ホーエンハイム、お父様
映画に登場するキャラクターはこちらの公式リンクを参照してください。
- リオールでエドVSインチキ教主であるコーネロとの闘い→コーネロを信奉するロゼとエドとの交流、ロゼ不在のため「あんたには立派な足がついてるじゃないか」といったセリフが消失
- コーネロが使うキメラ攻撃→原作では合成獣として生き物であることがわかるが、映画版では合成獣を模した質量攻撃に変更
- リオールの街にマスタング大佐、ホークアイ中尉、ウィンリィなどが集結→原作ではエド・アル・ロゼの3人でコーネロとの戦いに勝利する。コーネロがラスト率いるホムンクルスに殺され、入れ替わるのは原作通り。
- エドにショウ・タッカーを紹介するのがハクロ将軍→原作ではコーネロ事件を解決したエドに見返りとしてマスタング大佐が紹介
- ショウ・タッカーがアルを眠りにつかせる実験→映画オリジナルストーリーにつき原作にはそもそもない
- ショウ・タッカーの人体実験をエドが看破→原作ではエドとともにアルも同行していたが、先述の実験のため一時は離れていた。エド激昂時には合流し「それ以上やったら死んじゃう」など台詞あり
- ショウ・タッカーがマスタング大佐率いる軍部に拘束される→原作では軍部に保護されていたショウ・タッカーが、ニーナ(アレキサンダーと合成された)とともにスカーによって殺害される
- エドとウィンリィがドクターマルコーのもとを訪れるも、現れたラスト(色欲のホムンクルス)によって目の前で殺害→スカーによってアルともども傷を負ったエドは、オートメイルを修理するべくウィンリィのいるリゼンブールに戻る。護衛としてアームストロング少佐が同行するが、道中アームストロング少佐はドクターマルコーの姿をとらえ、エドとどもに訪問。ドクターマルコーから賢者の石の手掛かりとなるヒントをもらうが、その後ドクターマルコーはラスト(色欲のホムンクルス)によって襲撃を受ける(殺されてはいない)。エドはオートメイルの修理後マルコーのヒントをもとに「国立中央図書館 第一分館」を訪れるが、先回りしたラストによって図書館は焼失。蔵書内容を記憶していたシェスカの協力を得て第5研究所の存在を突き止める。
- エドは第5研究所として缶詰工場を訪れるも、場所違い。ショウ・タッカーに「自分は記憶を植え付けられただけの人工的存在ではないか」とそそのかされたアルがその思いを爆発。エドとアルの殴り合いのけんかの末、ウィンリィからエドの胸中を聞き和解→原作では第5研究所でエド・アルはナンバー48、ナンバー66らと死闘を繰り広げる。アルはナンバー66(バリー・ザ・チョッパー)より「自分は記憶を植え付けられただけの人工的存在ではないか」とそそのかされ、エドと自身の存在に疑念を抱く。事件後、病院に入院したエドとアル。アルはエドへの疑念を爆発させて殴り合いのけんかに。ウィンリィからエドの胸中を知ったこともあり、エドとアルは和解。
- ヒューズ中佐が第5研究所と軍部の機密に気づく。しかし直後にラスト(色欲のホムンクルス)からの襲撃を受ける。外線からマスタング大佐に電話するも、電話に出ているはずのマスタング大佐(エンヴィー)が目の前に現れる。反撃を試みるも、妻グレイシアの姿に化けたエンヴィーに手を出せず、そのまま殺害される→原作ではヒューズ中佐が国土錬成陣と軍上層部の機密に気づくも、ラストの襲撃を受ける。マスタング大佐に電話するも、つながる前にマリア・ロス少尉に化けたエンヴィーに遭遇。その正体に気づき反撃するも、妻グレイシアの姿に化けたエンヴィーに手を出せず、そのまま殺害される
- ヒューズ中佐殺害の容疑でマスタング大佐に射殺許可が下りる→原作ではヒューズ中佐殺害の容疑でマリア・ロス少尉の身柄を拘束される。一連の動きに不信感を持ったマスタング大佐は、自らの手でロス少尉を殺害したという偽装工作をする。その後ロス少尉はアメストリス国を脱出しクスルクセス遺跡に潜伏、のちにフーともにシン国に亡命
- マスタング大佐に銃を向けるロス少尉の正体がエンヴィーであることが判明。気づいた理由はほくろの位置が逆だったため→原作ではほくろの位置から正体を見破るのはヒューズ中佐。またほくろも逆ではなく、本来左目下にあるなきほくろをエンヴィーが再現し忘れていたため
- 第5研究所で賢者の石の錬成が行われていたことが発覚。軍より脱走したショウ・タッカーがエドに私怨(?)のためアルとウィンリィを人質にとる。その後ラストによってタッカーは殺害。ハクロ将軍が賢者の石によって人造人間兵による軍隊を作り王となることを宣言するも、自身で目覚めさせた人造人間兵に襲われる(たぶん死亡)。エド・アル・マスタング大佐・ホークアイ中尉、その他軍関係者は人造人間兵を第5研究所敷地内にとどめるために討伐を開始する→映画オリジナルストーリーにつき原作相当エピソードなし。第5研究所そのものはエドとアルのスライサー、バリー・ザ・チョッパーとの闘いなどで登場する。
- 第5研究所でのタッカーの私怨、ハクロ将軍の暴走はラストらホムンクルス側の意図した動きではないことが判明。ラストVSマスタング大佐・エド・アルによる闘いの末、ラストは賢者の石をマスタング大佐に奪われ死亡→ラストをマスタング大佐が倒すのは原作通り。
- マスタング大佐がエドに賢者の石を渡す。賢者の石で真理の扉に向かうエドだが、人の命を使って作られた賢者の石でアルの体を取り戻すことは断念する→映画オリジナルストーリーにつき原作相当なし
- マスタング大佐がエンヴィーを倒す。映画の終幕でエンヴィーが存命であることが示唆される(トカゲちゃん)→最終的にはマスタング大佐に倒されるが、原作ではだいぶ先のお話。
- 俺たちの体を取り戻す旅はまだまだこれからだ!→続編をにおわせるような終わり方である。
ざっくりまとめるとこんな感じの内容でした。
3. 映画『鋼の錬金術師』感想
ここからは映画『鋼の錬金術師』の感想を述べます。
3-1. ハガレン世界観に触れるにはうってつけの作品
『鋼の錬金術師』は言わずと知れた名作ですが、一方で初見の人に勧めるにはなかなか原作やアニメのボリュームが多いという難点がありました。
その点この映画はハガレンのエッセンスを2時間弱にまとめてあるので、ハガレンの世界観を知らない人が見る分には十分楽しめる作品であるかなと感じました。
もちろんハガレンには、魅力的なキャラクター、ダークで緻密な世界観、熱いバトル要素など数々のセールスポイントがあり、実写映画化にあたってそうした多岐にわたる魅力がそぎ落とされてしまった感は否めません。
少なくとも、ハガレンが提示する「人間とは何か」というテーマは、一映画として提示できていたのかなという印象です(それが魅力的で洗練された描き方であったかはまた別問題)。
3-2. VFXにより描かれた錬金術シーン
今回の映画はVFXかひとつの肝となっており、監督もハガレンの映画を決断した一つの理由として、そうした技術面での進歩を挙げていますね。
VFXでは様々な錬金術シーンが描かれており、あまり実写映画を見ない筆者が最近の邦画の技術力にびっくりしたというのは素直に感じました。
ただVFXシーンとキャストの演技の間にずれというか、違和感がぬぐえないシーンもいくつか見受けられました(エドがコーネロが錬成した柱から逃げるシーンなど)。
そうした技術面はもちろん評価しますが、映画としてその完成度に寄与しているかどうかは疑問符を持たざるを得ませんでした。
一番出来がよかったなと思ったのはアルフォンスですね。
3-3. 主題歌はよかった
主題歌はMISIAさんの「君のそばにいるよ」でした。公式サイトによると映画のエルリック兄弟からインスピレーションを受けて曲を書き上げたということで、歌詞からもそのストーリー性を感じることができますね。
余談ですが、TVアニメにおけるハガレンは名曲しかないと思ってしまうほどいい曲ぞろいですよね。まだ聞いたことがないという方はぜひ見てみてください。
3-4. コスプレお遊戯会と思いきや…
いやまあコスプレなんですけどもね。
しかし各キャラクターのキービジュアルを見たとき「なんだこのコスプレw」と思ったのですが、映画としてみると意外にしっくりハマるところははまるというか、主演のエドワード役である山田涼介さんもハマってた気はします低身長なところも原作準拠?
その中でも異彩を放っていたのはやはりラスト役の松雪泰子さんですね。一人だけ完成度が桁違いといいますか、一目見た瞬間「うわ色欲だ!」という感想を抱きました。あとは声だけですが、アルフォンス役の水石亜飛夢さんもよかったですね。アニメ版の釘宮さんとはまた違った弟ボイスといいますか、非常にかっちりはまってました。
筆者はハガレンはキャラというよりも世界観が好きということもあって、キャストでの違和感はそこまでなかったですねウィンリィが金髪じゃないとかは無視してました。キャラ推しの人には耐えがたいところもあるのかもしれません。
しかし山田涼介さんにいたって、撮影時には何もないところでアクションをしなければならなかったわけです(アルや錬金術シーンはあとからVFXで合成するため)。そのようなところに目を向けてみれば、まあよく作ったなというかねぎらいの気持ちが先にやってきますね。
3-5. 映画『鋼の錬金術師』で気になったところ
そもそもを言えばヨーロッパ的世界観で金髪が多いキャラを日本人が演じることが気になりますが、そこらへんは言い始めるときりがないので置いておきましょう。ここでは本編で個人的に筆者が気になった箇所について述べておきます。なお設定などについては原作の熱心なファンとはいえない筆者の認識に基づくものなので、一部間違いなどあるかもしれません。ご了承ください。
3-5-1. 錬金術の基本とは
錬金術とは魔法の類ではなく、錬成陣によって発動する、質量保存の法則と自然摂理の法則などに則った等価交換の法則になります。劇中では省かれていましたが、錬金術にはさらに3つの段階に分類でき、物質の構成元素や特性の「理解」、物質の「分解」、それを組みなおす「再構築」の3つがあります。原作ではこの「分解」の要素しか使えないスカー(傷の男)というキャラが登場することでわかりやすかったですが、こちらの映画ではこの区別が見受けられませんでした。
特にコーネロが錬成陣なしに錬成を行っているように見えるシーンはちょっと違和感がありました(むろん、画面に映っていないだけで錬成陣が描かれている可能性はある)。賢者の石はあくまで増幅装置であって、錬成陣もなしに無制限に錬成できる魔法ではない、ということが、画面上の情報からは伝わりずらかったですね(エドは手を重ねることで円を作り、錬成陣の代用としている)。
まあここらへんの細かいところは原作で確認してもらえればいいかなとも思います。
3-5-2. ウィンリィの出番水増し
今回の映画では、本来原作では出番がないはずのシーンにもウィンリィが登場するなど、ウィンリィの出演量が増加する形で改変されていました。
こちらはキャラの物語における役割の変更など、様々な都合があることは理解できます。
ただし第5研究所(正確には缶詰工場)にエドがウィンリィを連れて行ったのは違和感をぬぐえませんでした。エドは第5研究所にまつわる機密によって、危険にさらされる恐れがあることを認識していました。にもかかわらずなぜアルより無力と思われるウィンリィを連れて行ったのでしょうか。
こちらはエドとアルの和解シーンに繋げるために、ストーリーの都合としてウィンリィを配置したものとメタ的には理解できます。またエドはウィンリィとともにラストのドクターマルコーの殺害も目撃しているため、「自分と一緒のほうが安全」と考えたという解釈も可能です。
しかしながら原作におけるエドワードはウィンリィをはじめとする身近な人間を危険に合わせまいとしてきたキャラでした。そのためこのウィンリィを危険にさらすかのような行為を平然とやっているように見える描写はひどく違和感がありました。実際ウィンリィはタッカーに人質に取られているわけですし、このような齟齬によって「ヒロイン増量」という見方をまぬがれえないような描写は気になりました。
ただウィンリィとエドの腐れ縁を思わせるような会話パートは素直に良かったと思います。
3-5-3. マスタング大佐の炎の錬成描写
マスタング大佐は炎の錬金術シーンにおいて、あたかも手から火炎放射器のように炎を出すシーンがありました。マスタング大佐の錬成は燃焼の三要素である「燃焼物」「酸素」をつかさどるものであり、つまり空気中の塵を燃焼物として生成、空気中の酸素濃度を錬金術で調整したのち、発火布(強い摩擦で火花を発する特殊な布)で点火するという流れです。この意味において、マスタング大佐は炎を錬成しているというよりも、炎が発火する環境や導線を錬成しているにすぎないということです。
この認識にたてば、火炎放射器のように炎を流し込むシーンは誤りだとわかるのですが、そうした違和感も感じられました。まあ映像は演出の一つに過ぎないといわれればそれまでです。
3-5-4. アルフォンスの血印
映画ではアルフォンスが鎧に魂を定着させた存在として描かれていましたが、血印の存在には触れていなかったと思います。エドは自身の血によって、アルの鎧の内側に血印を描き、それがアルの魂と鎧の体を紐づける役割を果たしています。
鎧の体は劇中で触れられていたように、痛みを感じず、眠りや食欲といったものもない不死の存在といえます。一方で血印が何らかの理由で損なわれた場合、鎧と魂は分離してしまうという弱点もあります。また魂と鎧は拒絶反応を起こすリスクを抱えており、決して万能の存在ではありません。
こちらの設定は映画の主要なテーマから外れるため優先順位が低くカットされてしまったのかもしれませんが、ハガレンはこうした緻密な設定が人気の一つの要因とも思うので、一応こちらの記事で触れておきます。
3-5-5. 結局続編やるの?やらないの?
映画は言ってしまえば「俺たちの旅はまだまだこれからだ!」ENDといえそうです。グラトニーの第2形態(?)や、エンヴィーの生死、ラストらホムンクルスたちの目的といった重大な部分は触れられませんでした。
製作陣としては、おそらく続編も視野に入れてとのことかと推測しますが、あまりに投げっぱなしなところも多いので、一映画作品としてみた際にも疑念は残ります。
詳しくは原作読んでね!ということであれば、まあ致し方ないかなとも思います。
3-6. 筆者である花丸総研の感想ツイート
ここまでで散々ネタバレをしておいてあれですが、花丸総研のネタばれなしの感想ツイートです。
ハガレン映画はツッコミ入れようと思えばいくらでもできそうですが、そもそもツッコミを入れる前に「これはこういうもんだ」と圧倒的な説得力でねじ伏せる実写版銀魂の底力を再確認したような思いです。
— 花丸総研@渡辺曜研クラブ (@HNMR_0929) 2017年12月2日
ロケ地ヴォルテッラなのは素直に良かった
— 花丸総研@渡辺曜研クラブ (@HNMR_0929) 2017年12月2日
行ってみたい
ヒューズ中佐がなぜフレンズ推しになってるのかわかりませんでしたね
— 花丸総研@渡辺曜研クラブ (@HNMR_0929) 2017年12月2日
あとニーナは実写なのにアニメ声だったのが良かった(?)
— 花丸総研@渡辺曜研クラブ (@HNMR_0929) 2017年12月2日
ハガレンはラストとアルと大泉洋が良かったです👍
— 花丸総研@渡辺曜研クラブ (@HNMR_0929) 2017年12月2日
4. 総括
というわけで久しぶりにハガレン熱がこみあげてくるような映画でした。気になるところはあるが、ハガレンの世界観の入門編という意味ではそこまで悪くないのかなという印象です。2017年に同じく少年漫画の実写作品である『銀魂』がなければもうちょっと評価が上がってたかもしれないです。まあギャグ漫画とダークファンタジーを比較するのも酷な話ではありますが。
さらに数に限りはありますが、入場者特典として原作者による『鋼の錬金術師0巻』もあります。こちらは荒川弘自らが7年ぶりに描き下ろしした新作エピソードということもあり、ファンにはたまらない1冊ですね。
内容は主人公エドが国家錬金術師になった直後のストーリーで、映画のお話に続く前日譚という感じです。個人的にはバスク・グラン准将が好きだったので、准将かわいい!ってなりました。あとは映画の監督と原作者の対談インタビューも載ってます。
正直これ1冊で映画を見に行く価値があります。気になる方は1800円を払って等価交換しようぜー
P.S. Amazon PRIMEの有料会員だとアニメ無印が全話見放題みたいです~。さらに劇場版シャンバラとミロスの方も今なら追加料金なしで見れちゃうみたいです。こちらはFAではないため原作準拠とは言えないのですが、花丸総研にはとっても嬉しい!
【その他リンク】
【参考文献】